男に告白された男
そんなつもりは全くないのに、同僚(男)から告白されてしまいました。 会社を辞めるわけにも行かず、彼も辞める気配もなく、 オフィスの5階(僕)と6階(彼)、なんとなく気まずい僕の日記です。
DATE: 2006/10/10(火)   CATEGORY: 未分類
未然の信頼。
「今の話をしてるんじゃない。未来の、仮定の話だ」
わからん。さっぱり、わからん。
未来に対する信頼?
「わかるように話せよ。それじゃ、さっぱり分からない」
椅子に腰掛けた彼と僕の間には、湯呑と急須がある。
その急須は18で実家を出る時に持ってきたもので
緑茶も紅茶もぞんざいに使われて、注ぎ口の下側が少し欠けている。
お茶よりもむしろ、酒のほうが相応しい会話だな、
そんなことを考えながら、僕は古びた急須を見ていた。

急須の先には、彼の指先があって、
軽く握った形で、親指が小刻みに動いている。
「お前、あの人にこの先何をされても、変わらず信頼し続けるだろ」
そんなこと、わかるものか。
口ではそう言ってみたが、彼がいうことは少なくとも一部は正しい。
“何をされても”のうち、キスされるという仮定は立証されたんじゃないか。

いやしかし、それによって損なわれるのは信頼という感情なのか。
キスをされる前と後、僕と伊原さんの関係は同じではいられないんじゃないか。
実際に顔を合わせてみないことには、自分がどう対処するのか
はっきりしたことは、わからない。
けれど、少なくとも僕の心の中では、どの程度であれ
伊原さんに対する感情は、変形している。
変形はしているが、感情の総量が変化したかといえばそうではなく
そういう、量の問題ではなく、質の変化。
変化したものは、信頼という部分なのか?

「お前、伊原さんに押し倒されたらどうする」
なんてこと言い出すんだと、僕は思わず目をむく。
彼は冗談をいっているわけでもない証拠に、ひどく真面目な顔をしている。
「殴る」
笑うかな、と思ったが、彼は表情を変えない。
「やられるかどうかっていう問題じゃない」
露骨だな、そういう台詞をシリアスな顔して言ってもサマになるから
顔が良い男というのは得だ。
「それでもお前は、伊原さんを遠ざけることはしないだろう」
そんなことわからない、そう言おうとした僕を遮るように
「でも俺だったら、そうはいかない。違うか?」
僕は今度こそ言葉をなくして、彼の顔を凝視するしかなかった。


COMMENT

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アヤカ | URL | 2006/10/10(火) 23:26 [EDIT]
すごく続きが気になってます…
彼は嫉妬しまくってますね。

なんだか二人きりでものすごい話をしてますよね(笑

keikei | URL | 2006/10/11(水) 10:28 [EDIT]
うん、言葉なくしてしまうね。
実際キスされたからといって伊原さんから遠ざかる雰囲気はひつじさんから感じ取れないし、もし彼に同じようにされたら・・・伊原さんの時より引くんじゃないかな?って思ったよ。

白いひつじ | URL | 2006/10/11(水) 20:08 [EDIT]
今日もまた、他人のミスに足元すくわれ
明日朝イチで侘びの電話。
笑って済む話で片付くことを祈る…。

コメントありがとうございます。

そう、図らずもすごい話題に展開してしまったのですが
すごい話というのはたいてい、予期せずやってくるものなのかも。
なんの準備も心構えもなかったがゆえに、言葉を選ばず言いたいこと言えたのは、よかったとは思うんですが。
まあ、いかにも後日談的な解釈ですけどね。その場では、そんなこと考える余裕もない(笑)。
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